自分らしさを髪で諦めないで

暮らしを受け入れる、楽しむ

はじめに

脱毛症になり、外見や生活が変わるなかで「自分らしさ」を見失いかけたことがあります。でも、やりたいことを諦めずに挑戦してみると、意外とできることもありました。今回は、趣味を通して自分らしさを取り戻した体験をお届けします。(交友関係について書いた自分らしさは変わっていくもよければ読んでくださいね)

つたえたいこと

やってみるまではハードルが高そうに見えることでも、実際やってみると意外とできたりする。自分でどうにもできないことでも、勇気を出して相談してみたら道が開けるかも。

学生時代ダンスを諦めた話

学生時代、私はダンスをしていたのですが、ウィッグ生活になってから思い切り踊ることが難しくなり、ダンスをやめる決断をしました。

理由はいくつかあるのですが、まずは激しい動きが出来ないことです。ウィッグをしていると、地毛とウィッグがいかに絡まないかに気を遣うのですが、ダンスをして動く(横や上下の動き)ことでぼさぼさに絡まり、髪はもとに戻らずウィッグも傷み大変なことになります。また、頭を大きく動かすムーブで下を向く時はウィッグがずれないか恐怖心におびえていました。

また、ダンス後のクールダウンが出来ないことも続けるうえで難しかったです。ダンスをするととても汗をかくので休憩の度に汗を拭いたり風を浴びてクールダウンするのですが、ウィッグをみんなの前でとれるはずもなく、蒸し暑い思いを我慢していたのが体力的につらかったです。

そして最後に(私がやっていたジャンルは)大人数で行うダンスだったことです。大所帯での練習、発表のため前述した2つのような困りごとを相談する勇気がありませんでした。全員に打ち明けたくはなかったので我慢していました。

こうして、私はダンスを諦めました。自分の体が思うように動かせないこと、みんなと同じように汗を拭いたりリラックスできないこと、そして相談する勇気を持てなかったこと。そのすべてが積み重なって「これ以上は続けられない」と思うようになったのです。
でも、本当はやめたくなかった。ダンスはもちろん一緒に踊った仲間たちとの時間がとても好きだったからこそ、悔しさが残りました。

思い込みを捨ててチャレンジした趣味3選

その後学生時代はこれといった趣味を持てずに過ごしてきたのですが、社会人になってこの病気に自分らしさ、自分の楽しみまで奪わせてたまるかと思って、趣味開拓にチャレンジしました。そのなかでも「できないと思い込んでいたけどできた趣味」を3つご紹介します。

茶道:「マナーが厳しそう」と思ったけど、相談したらできた!

茶道って「そもそもウィッグ云々のまえに習うハードルが高い」というイメージがありますよね?

私は高校時代に茶道部に入っていたこともあってハードルは比較的低いほうだったとはありますが、茶道の世界での暗黙のマナーにウィッグ生活で適応できるか心配でした。

お茶のお稽古では髪の長い方は髪をまとめる、もしくは留めることが求められます。これは所作の美しさを磨いていくなかで、頭を下げたりした際に、髪がかかったりそれを手でなおす仕草が好ましくないからです。でもフルウィッグをかぶっていると構造上髪を結ぶのがとても難しいです。そのため、ウィッグ生活では他の方と同じように髪をまとめられないからできない、そう思ってました。

でも、それは私の思い込みでした。複数の茶道教室に体験に行き、先生や生徒さんの雰囲気をみながらここだと思うところに出会い先生に相談をしました。「ぜひ入門させていただきたいのですが、相談があります。持病がありウィッグをしているため髪をまとめることが難しいですがそれでも通うこと可能でしょうか」と。

すると先生は「事情は理解しました。出来る範囲でかまいませんよ」と温かく受け入れてくださいました。

お茶の世界はたくさんの決め事やマナーがあり受け入れてもらえるかとても心配でしたが、事情を話したらできることもあるんだ、と実感できたひと時でした。

サウナ:「脱毛があると無理?」と思っていたけど工夫でなんとか!

「え、ウィッグ生活で銭湯とかサウナいけるの?」と疑問に思うと思います。

私も自分の脱毛部を人に見られたくないので、脱毛の症状があるときは行かない、行けないと決めつけていました。

しかし、冒頭の質問に対する今の私の答えとしては、「完全に隠すことは難しいし、いつでも何も気にせずいけるわけではないけれど、気にしないレベルの妥協点をみつけて行きたいと思えるときは行ける」です。

こんな感じで、うまく工夫をしています。症状によって結んで隠せるかシャワーキャップとサウナハットで完全防備するか変えたりしています。

シチュエーション脱毛部が見えないようにする工夫
浴場に入るとき結んで隠す、サウナハットをかぶって入る、シャワーキャップをしてはいる
シャンプー後結んで隠す(+タオルを頭にのせる)、サウナハットをかぶりサウナに直行する
髪の毛乾かすとき人が多ければタオルドライしたら結んで帽子をかぶって帰る、
この事態を避けるためにとにかく人がいない曜日・時間に行っています。

でも症状の具合や気分によって銭湯でシャンプーすることに気が乗らないときは、サウナハットでずっと隠すもしくは、銭湯に行く替わりにお家でゆっくりお風呂に入ることにしています。無理せず細かく気にしすぎずをモットーに銭湯ライフを楽しんでいます。

海外旅行:「疲れそう」と思ったけど、日本にいるより気楽だった

「旅行先でウィッグ生活って疲れそう」って思いますよね?私もウィッグ生活を始めてから旅行に出かけるのが少し億劫になってしまっていて、特に海外はハードルが高かったです。

でも旅行に行くときも、ウィッグ旅行グッズを持っていけば普段の生活と何ら変わりありません。(今度ウィッグで旅行で必要なものをまとめた記事を書きますね!)

でも実は、日本よりも海外のほうがウィッグ生活は気楽でした。
知らない人ばかりだから「誰かに気づかれるかも」と心配する必要がないですし、イスラム圏ではヒジャブを着ければウィッグすら必要ありません。
アメリカでは、黒人女性がファッションウィッグを当たり前のように着けていて「ウィッグは個性のひとつなんだ」と実感。むしろ、日本よりも自由にいられる場所があると気づきました。

おわりに

「病気のせいで」と思いたくなること、たくさんありますよね。でも「自分らしさ」を諦めてはだめです。やりたいけどウィッグ生活を理由に挑戦できなかったこと、やめてしまったこと、もう一度挑戦してみませんか。

全ての挑戦が上手くいくとは限らないですし、完全に思い通りのカタチでは実現しないかもしれません。でも、自分のやりたいことをやる、これはあなたにとって、あなたの長くて短い人生においてとても重要なミッションです。

「無理かも」と思っていること、本当にそうでしょうか?
できないと思っていた趣味も、相談したり工夫することで案外できるかもしれません。
まずは、気になることを一つ、試してみませんか?

脱毛症になったことは変えられなくても、どう今の生活を楽しむかはあなた次第です。気張りすぎず、でも諦めずに「自分らしさ」を輝かせてください。

タイトルとURLをコピーしました