この手紙を書く理由
脱毛症になってから一人で悩み、起き上がろうとして無理に自分を奮い立たせていた時期がありました。「私は大丈夫、私はつらくない、世の中にはもっと大変な思いをしている人たちがいる。私はまだよかった。」そんな風に本当の感情に蓋をして自分に言い聞かせていました。
そんな自分にごめんね、ありがとう、無理しないでと、かけたい言葉がたくさんあります。
これは昔の私への手紙であり、今同じように自身の悩みに苦しんでいる方たちへの手紙であり、そして、将来また同じように人生で苦境に立たされた時の私への手紙です。
「私は辛くない」そう思いたかった自分へ
「私は辛くない」そう思いたかった自分へ。
脱毛症で普段の生活ができなくなること、自分の見た目が嫌いになる事、それでもそんな自分を受け入れようとして必死だったね。
どれだけ自分で変えたくても、どれだけ変えようと必死になっても変えられない現実にぶつかったね。
とてもつらい思いをしているけど、誰も悪くない。怒りの矛先も無いからただずーんと落ち込んでいくだけ。
落ち込む感情は大きくなるばかりなのに、どこに感情をぶつけていいのか分からなくて、行き場を失ってしまった感情に不和を感じて、「これはつらくない」と思い込むことで均衡を取ろうとしたんだよね。
そうして他の病気に向き合っている人や同じく脱毛症の方たちと比べて、「円形脱毛症は生命にかかわる事じゃないから」とか、「自分の症状は、ウィッグを着ければどうにかなるから」と理由をつけて私はそんなに辛くないんだと言い聞かせていたね。
でもね、そんなことはしなくていいんだよ。
自分が辛い、苦しいと思うことを我慢しなくていいんだよ。
自分の悩みを他の人の悩みと比較して小さく思わなくていい。
たくさん泣いて、たくさん他の人を羨ましがって、「ああ、なんで私が」って思っていいんだよ。
あなたが辛い状況にいることを理解し、受け入れてくれる人が必ず誰かいるはず。まず自分がその一人となってあげてください。
おわりに
辛いことがあるとき、その感情を受け入れるために、人はその理由を探すと言われています。理由があるほうが、そのせいにできて楽だからです。
でも生きていると誰も悪くない、理由もないのに、とても苦しいことがあると思います。私の場合、それは円形脱毛症を発症し変わっていく自分への恐怖でした。
この手紙が、少しでも多くの人に届き、自分の悩みに蓋をしている人がいたらその蓋にかかっている鎖をそっとほどいてあげられることを願っています。
もしあなたも悩んでいた頃の自分に伝えたいことがあったら、手紙に書いてみてください。そしてもしよければ私にも教えてください。あなたと同じ境遇の方と、将来の自分そして悩んでいたころの自分がいつかたくさん感謝してくれるはずです。