はじめに
脱毛症になると、自分らしさが分からなくなることがあります。でも、変化を受け入れることで、新しい自分らしさを見つけることができるかもしれません。
かつての私は、人と関わることが好きで、積極的に新しい人間関係を築くタイプでした。でも、脱毛症になったことで「人目を避けたい」「脱毛していることがばれたくない」という気持ちが強まり、人との繋がりを広げること、自分のやりたいことをやることにすっかり消極的になってしまいました。
そこで今回は、「自分らしさ」というテーマで、①交友関係、②趣味について2回に分けてお届けします。まず第1回は「自分らしさは変わっていく」という題で、移りゆく自分らしさと身近な人たちとの向き合い方をお話しします。
趣味について書いた第2回:「自分らしさを髪で諦めないで」もあわせて読んでみてください
つたえたいこと
大丈夫、自分らしさを失ったわけじゃない。
自分らしさも変わっていくから。
自分の変化
脱毛を隠すようになったことで自分の人との関わり方、気持ちが変化しました。人と会うことが怖くなり、それが大人数の場への苦手意識につながり、最終的には外に出ること自体が億劫になっていきました。
人と会うことが怖くなった
脱毛症になってから、人と会うことが怖くなりました。距離がそんなに近くない人(初対面の人や、久しぶりに会う人)はもちろん、脱毛症のことを打ち明けていない人に会うことが怖く、億劫になりました。
「ウィッグだと気づかれたらどうしよう」「驚かれたらどうしよう」という不安から、自然と人を避け、初対面の場面を避けるようになりました。また、久しぶりに会う人にも、「この前会ったときはどのウィッグ着けてたかな」と考えて髪型を選んだりとひと手間かかるのが小さなストレスになりそれは積み重なって大きなストレスになっていました。
大人数の輪に入るのが怖くなった
人と会うことを避けるようになると、次第に大人数の場も怖くなり、友人の集まりに誘われてもつい「今日はやめておこう」と断ることが増えました。
特に、知らない人が多い場面では目立ちたくない思いで自分のことを話したくない思いになり、自分に自信をもって接することができませんでした。「前みたいに気軽に打ち解けられないな」と感じること、自分で壁を作ってしまうことが多かったです。
外に出ることが億劫になった
人目を避けたいという思いは、外に出ること自体を億劫にさせました。外に出ると不特定多数の「知らない人」に会うわけですしその準備も気分が乗りませんでした。それによって自分らしさに迷子になっていた時期は休日は家で過ごす時間が増えました。
以前は「春の新作を見に行こう」「スイーツを買いに散歩しよう」とワクワクしていたのに、その頃はウィッグをかぶらなくていい部屋の中が唯一の安心できる場所になっていました。気づけば、それが自分自身を閉じ込める“檻”になっていたのです。
今、自分らしさの変化を振り返って
変わったこと
当時の私は「これでは自分らしくない」と昔の自分と比べて焦っていました。過去の初対面の人とでも積極的に話せる自分と比べて、「今の私はそれができない」と悲観していました。
でも今振り返ると、自分らしさというのは変わっていくものなのかもしれません。私は自分らしさを失ったのではなく「新たな自分らしさ」を形成していたのだと思っています。
確かに、昔のように人とすぐに打ち解けることは難しくなりました。新しいコミュニティに入るときの慣れるまでの時間も前よりかかるようになりました。
その代わり、今の私は 人の話をじっくり聞けるようになりました。前はどちらかというと自分から会話を盛り上げる側でしたが、今は 相手の気持ちを大切にしながら話を聞くことが増えました。
変わらなかったこと
自分らしさが変化していくなかで変わらなかったものもあります。私にとってのコアとなる「人と深い関係を築くことが好き」ということです。
傾聴できるようになり、たとえ以前のように積極的に輪に飛び込むことはできなくても、一対一の会話の中でしっかりと相手と向き合うことは変わらずできましたし、よりしっかりと向き合えたと思います。それなら、それを大切にしようと思うようになりました。
このコアがあったことで、新しい人間関係を築くことへの恐怖があったにもかかわらず、新しいコミュニティでも本当に気が合う友人と仲良くなることができました。
自分らしさ
昔は自分から積極的に関わることが多かったけれど、今はじっくり人の話を聞くことが増えました。でも、人と深い関係を築くこと自体は、今も変わらず大切なものです。
そう思うと「自分らしさが変わる」ということは、決して悪いことではないのかもしれません。大切なのは、その変化を受け入れつつ、自分のコアとなる価値観や人間関係、そして人生の楽しみを見つけて大切にすることだと思います。
おわりに
脱毛症をきっかけに、「自分らしさ」の迷子になり悩んだ時期がありました。でも、振り返ると、それはただ単に「自分らしさが変化していった」だけだったのかもしれません。
変わることを怖がり昔の自分に戻ろうとするのではなく、今の自分にとって大切なものは何かを探し、それを大事にすることができれば、きっと新しい「自分らしさ」に自然となっていくはずです。
「自分らしさを見失ったかも」と感じても、大丈夫。自分らしさは、変わりながらも確かに存在し続けるものです。変化を受け入れ、自分なりのライフスタイルを、自分なりのペースで、暮らしを楽しんでください。
「自分らしさを諦めないで」第1回の交友関係編でした。第2回の趣味編も合わせて読んでいってくださいね。